「性と生殖に関する健康・権利」について、お話ししました

man wearing gray dress shirt and blue jeans

2022年11月21日、福知山市のはばたきセミナー第2講座として、「私のからだは私のもの~性のこと、自分で決めてる?~」というテーマでお話をしてきました。
今回は、その内容をご紹介します。

今回のキーワードは3つ

性と生殖に関する健康・権利

性と生殖に関する健康・権利は、次の4つの内容を含んだものになります。

  • 性に関する健康

自分の「性」に関することについて、心身ともに満たされて幸せを感じられ、またその状態を社会的にも認められていること。

  • 生殖に関する健康

妊娠したい人、妊娠したくない人、産む・産まないに興味も関心もない人、アセクシャルな人(無性愛、非性愛の人)問わず、心身ともに満たされ健康にいられること。

  • 性に関する権利

セクシュアリティ「性」を、自分で決められる権利のこと。自分の愛する人、自分のプライバシー、自分の性的な快楽、自分の性のあり方(男か女かそのどちらでもないか)を自分で決められる権利。

  • 生殖に関する権利

産むか産まないか、いつ・何人子どもを持つかを自分で決める権利。妊娠、出産、中絶について十分な情報を得られ、「生殖」に関するすべてのことを自分で決められる権利。

JOICEF https://www.joicfp.or.jp/jpn/know/about_srhr/what_is_srhr/より引用

性的自己決定権

性的自己決定権とは、いつ、どこで、誰と性関係を持つのかを決める権利です。

同意がなく、対等性がなく、自分の意思を無視され、望まない行為を強要される時、人は深く傷つきます。そのような人権侵害がないように、性的自己決定権は非常に重要です。

具体的には、次のような権利を意味します。

  • 健康に生きる権利
  • 自分らしく生きる権利
  • 性行為について自分で決める権利
  • 産む権利・産まない権利

性的同意

性的同意とは、性的な活動を行う際に結ぶ同意のことをさします。性行為について自分で決める権利を行使するために、相手の権利を尊重するために、とても大切なステップです。

幸せな性のためには、お互いが対等な関係であること、自分の気持ちが尊重され、相手の気持ちを尊重できることが必要です。
性的同意は、幸せな性の実現に欠かせません。

一方で、同意のない性行為は、性暴力です。
対等ではない関係で強要されたり、「NO」と言えない状況に置かれたりしている場合の「同意」は、本当の同意ではありません。

アンコンシャス・バイアスにご注意を

アンコンシャス・バイアスは、無意識のうちに「こうだ」と思うことを意味します。アンコンシャス・バイアスによって、相手や自分自身によくない影響が出ることがあります。

アンコンシャス・バイアスは、今までの経験などから作られる「思い込み」です。すべてを否定するのが正しいという訳ではなく、誰にでもあるものです。
アンコンシャス・バイアスは、「ふつう、…だ」「…が当たり前」「…は、常識だ」「どうせ…だ」「…あるべきだ」などと語られるようなことの中に潜んでいます。

あなたにとっての「当たり前」が相手にとってはそうではないかもしれない、という意識を持てば、アンコンシャス・バイアスの悪影響は小さくなっていきます。
また、アンコンシャス・バイアスは、相手だけではなく自分自身をも苦しめることがあります。「…あるべきだ」などの思い込みに縛られていないか、自分自身の考えも見直してみると世界が広がるかもしれません。

アンコンシャス・バイアスへの対処法(「共同参画」2021年5月号より)

1.決めつけない、押しつけない:自分のアンコンシャス・バイアスで、ものごとを決めつけたり相手に押しつけたりしないようにしましょう。

2.相手の表情や態度の変化などの「サイン」に注目する:相手の変化は、自分のアンコンシャス・バイアスに気づくきっかけになります。

3.自己認知:自分にもアンコンシャス・バイアスに気づこうという意識を持ちましょう。誰もがアンコンシャス・バイアスを持っていること自体は自然なことです。ただ、そのバイアスが悪影響をもたらすこともあるという意識が大切です。

アンコンシャス・バイアスを取り上げた理由

今回、アンコンシャス・バイアスについてお話ししたのは、性と生殖に関する健康問題について、多くの方がアンコンシャス・バイアスを持っていて、それで苦しんでいる方も少なくないと感じたからです。

性と生殖に関して、SOGI(性指向や性自認)や子どもを持つこと、恋愛や結婚など、自分のアンコンシャス・バイアスに基いて語られがちな話題があります。いずれも、自分らしい選択のもと自分らしく生きられることが大切ですが、アンコンシャス・バイアスが妨げになってしまうことがある問題です。

アンコンシャス・バイアスに気づき、多様性を認め合える社会になることが、性と生殖に関する健康の実現のためにも役立ちます。

今回お話しした、性と生殖に関する健康問題

講演の最初に「生理でお腹が痛いから学校を休みたい」と言った女の子にどう答えるか、という質問を投げかけました。皆さんは、どのように答えますか。

私は、「生理でお腹が痛いなら、産婦人科を受診する」という選択肢を考えてほしいと答えました。
それは、産婦人科を受診することで、①月経のしくみを知る、②月経困難症の原因と対処法を知る、③自分で対処法を選んで決める、というチャンスが得られるからです。

自分のからだに起こる変化や不調に対して、そのしくみや原因を知り、自ら選んだ対処を行う。性に関する健康に限らず、とても大切なことと考えます。
とは言え、なかなか実行するのは難しいものです。少しずつでかまいません。ご自分の健康について、知識やスキルを増やす時間を持ちませんか。

ここでは、今回取り上げた健康問題を簡単にまとめておきます。それぞれの疾患にについて、関連記事のリンクも貼り付けておきますので、そちらも併せてお読みくださいね。

月経に関する健康問題

月経に関連した不調に伴う労働損失は、報告によると年間4900億円を超えるそうです。それだけ多くの損失があるということは、私たちの社会はまだ性と生殖に関する健康に対してきちんと対処できていないことを意味します。

月経に関する不調が解決できれば、もっと快適で幸せな毎日を過ごせるかもしれません。下記の中で気になるものがあれば、産婦人科にご相談ください。

  • 月経不順:月経周期がバラバラな状態
  • 頻発月経・希発月経:月経周期の異常(多すぎる、少なすぎる)
  • 過多月経・過少月経:月経の量の異常(多すぎる、少なすぎる)→過多月経については、コチラの記事をお読みください。
  • 月経困難症:月経期の体調不良。腹痛、頭痛、腰痛、吐き気など→月経の痛みについては、コチラ(1)コチラ(2)の記事をお読みください。
  • 月経前症候群:月経の前に起こる体調不良。気分の変化、便秘、むくみ、めまいなど→月経前症候群については、コチラ(1)コチラ(2)の記事をお読みください。
  • 更年期障害:閉経前後に起こる体調不良。気分の変化、頭痛、肩こり、冷え、のぼせ、突然の発汗など→更年期障害については、コチラの記事をお読みください。

また、ヘルスケアラボというサイトでは、女性の健康に関するセルフチェックができます。セルフチェックだけではあなたの不安や悩みは解消しないかもしれません。その場合には、産婦人科を受診して相談することをお勧めします。

これらの諸問題に対する対処法のキホンは、以下の3つ。

  • セルフケア:ストレスをためない、体を温める、適度な運動、など
  • 周囲の理解や協力:職場や家族に知ってもらい、必要なサポートを受けるようにする
  • 医療:鎮痛剤やホルモン剤による治療を受ける

どれも大切な対処法です。我慢せずに、早めに対処するようにしてくださいね。

その他の性に関する健康問題

性と生殖に関する健康は、女性だけではなく男性にも関係するものです。月経以外の性と生殖に関する健康問題についてもいくつかご紹介しました。

  • SOGI:性指向(好きになる性)、性自認(こころの性)
  • 不妊症:定期的に性交があってもなかなか妊娠しないもの→不妊症については、コチラ(1)コチラ(2)コチラ(3)コチラ(4)の記事をお読みください。
  • LOH症候群(男性の更年期障害):テストステロンの減少に伴う体調不良。気分の変化、性欲の減少、体力の低下など。女性の更年期障害(閉経前後の45~55歳頃に起こる)と違って、40代以降どの時点でも起こりえます。LOH症候群のセルフチェックは、日本内分泌学会のHPをご参照ください。

まとめ~「私のからだは私のもの」であるために~

健康であることは、憲法で保障された人権です。今日のような健康に関する情報は、人権を守るための大切な情報とも言えるわけです。

健康に関する知識やスキルを身につけ、健康であることを大切にしていきましょう。自分自身だけでなく、相手や周りの人の健康にも気を配れるようになりましょう。

そして、すべての人が「性と生殖に関する健康」を享受できるように、「性と生殖に関する権利」を尊重できる社会にしていきましょう。