性について教える、第一歩(その1)

wood bridge cute sitting

11月12日、14日に開催された性教育講演が終了しました。
どちらの講演でも、お越しくださった皆さんが熱心に聴いてくださいました。ありがとうございます。

そこで、これから何回かに分けて、実際にお受けした質問の回答をご紹介していきます。
今回は、性教育の始め方に関する質問です。

小さな子どもにも、すべて科学的に説明した方がいいの?

お子さんには、科学的に正しいことを伝えましょう。

たとえば、「赤ちゃんは、コウノトリが運んでくる」…夢がありますよね。でも、そう思えるのは本当のことを知っている大人だけかもしれません。
コウノトリが運んでくると教えられたお子さんが、それが違うと知った時を想像してみましょう。「嘘をつかれた」と感じるかもしれません。お子さんが「性に関することを質問しても、本当のことを教えてはくれない」と考えるようになるかもしれません。

お子さんが理解できないと思われることは、理解できるようになるのを待てばいいだけです。嘘ではなく、理解できる範囲でわかりやすくお話してみましょう。

性教育の絵本を使って、お子さんに性教育を始めたという方からも質問がありました。

絵本には、小さいうちに「性交」まで教えておいた方がいいとありました。今日の講演では、そこまで伝える必要はないとのことでしたが、どうなんでしょうか?

年齢によって、この先を教えてはいけないという境界はありません。ただ、年齢によって、理解できる範囲が異なります。お子さんが理解できているかを見ながら伝えていきましょう。

絵本には、「子どもが大きくなると、性について話す機会がとれなくなることもあるため、小さいうちに教えておくのがいい」と書かれていたそうです。確かに、思春期に入る頃には、小さい頃のように親子で何でも話すという雰囲気ではなくなっているかもしれません。

しかし、大切なことは、お子さんが性のことを正しく理解することです。
小さいお子さんが「性交によって赤ちゃんができる」と知ったとして、第二次性徴も迎えていないお子さんが「性交」について十分に理解できるとは思えません。
したがって、小さいお子さんに「性交」について教えるとしても、さらっと伝えるだけで充分です。性教育は1回で終わるものではありません。年齢に合わせて繰り返し伝えていく中で、より詳しく必要な知識・情報を教えていきましょう。

ご家庭で性に関する知識をすべて伝えられなくても大丈夫です。
学校でも、性に関する情報は教えられています。自分で伝えることに自信がなければ、性教育に関する本やインターネットのサイトなどをお子さん自身で読むように促すこともできます。

お子さんが健康で幸せに生きていくためにまず必要な知識やスキルは、「性」に関することだけではありません。
「自分を大切にする」「自分のからだを大切にする」
ご家庭でする性教育だからこそ、このような基本的なことから始めていただきたいと考えています。