ママ世代が気にしてほしい、女性ホルモンが関係する病気

講座の様子

6月8日は、ドーンセンターで2回目のMimosaによる健康講座を開催しました。

テーマは、「女性ホルモンを味方につけよう♡」でした。
女性ホルモン(エストロゲン)のはたらき、女性ホルモンが関係する病気とその治療について、産婦人科医による解説がありました。

最後は、質問コーナー。
参加者の皆さんから多くの質問をいただき、充実した講座にすることができました。

そこで今回は、ママ世代が気にしてほしい、女性ホルモンが関係する病気をいくつかピックアップして解説します。

お子さんの思春期に起こりうるアレコレ

思春期は、第二次性徴が始まる時期です。

8歳ごろから、乳房や陰毛の発育、月経の開始(初経)といった第二次性徴が始まります。

第二次性徴は、脳にある視床下部でのゴナドトロピン放出ホルモンの分泌が増え、その刺激でエストロゲンの分泌が増えることで始まります。また、成長ホルモンなどのほかのホルモンも関係しています。

「娘の初経は早すぎる?」「まだ来ないのは遅すぎる?」

お子さんのことで、心配する方もいらっしゃるかもしれません。

以前、思春期が始まる時期について解説していますので、こちらをご覧になってください。
思春期に個人差はつきものですが、早い遅いが気になった時にチェックすることをまとめました

「月経がこんなに不規則で大丈夫?」

月経不順をきっかけに、心配したお母さんと一緒に受診されるお子さんも時々いらっしゃいます。

思春期の頃の月経は、排卵を伴わず不規則であることが多いです。
あまり神経質にならず、様子を見てあげましょう。

産婦人科を受診する目安は、次のとおり。
・3か月以上月経(生理)が来ない
・出血が2週間以上長引いて止まらない
・量が多くて大変だ
・月経痛(生理痛)がひどくて辛い
・その他、月経(生理)のことで困ったことがある

大切なのは、お子さんがこれらの悩みを大人に話してくれることです。
誰にも話せずに独りで悩むことがないよう、話しやすい環境を整えたいものです。

「うわぁ、今度の旅行が月経と重なりそう!」

そう思うだけでブルーになるのは、大人だけではありません。

運動会や部活の試合、大切な試験、修学旅行、プールなどに月経が重なる場合、必要に応じて月経の時期をずらすことも可能です。
心配な時期の1ヶ月ほど前になったら、産婦人科医に相談してみましょう。

2人目、3人目がほしいと思ったら

1人目はすぐに妊娠したのに、2人目と思ったら今度はなかなか…。
その時に考えられることは、何でしょう?
そして、どうしたらよいでしょうか。

多くの場合、今まで妊娠のときに問題なければ、それ以降も大きな問題が生じることはありません。

しかし、新たに病気になることで妊娠しにくくなっていることも十分考えられます。
たとえば、子宮筋腫や子宮内膜症。
また、糖尿病などの全身疾患も関係することがあります。

1年ほどたっても授からない場合、それらの病気になっていないか確認するためにも、一度産婦人科を受診してみましょう。

「異常がないと分かった=すぐ妊娠する」というわけにもいきません。上のお子さんとの年の差も気になることでしょう。
思い立ったら、少し早めに実行に移しましょう。

検査の結果、「異常がない」と言われるかもしれません。
では、どうしてなかなか授からないでしょうか。

実は、年齢とともに、精子も卵子も、妊娠する力が弱っていきます。
子宮も受精卵を受け入れる力が減っていきます。

誰でも、1人目のお子さんを妊娠した時より、確実に年齢を重ねています。パートナーも同じ。
しかも、加齢に伴う変化は、検査の結果に表れないものがほとんどなのです。

1人目のときと同じ治療をしても、結果に結びつかない…。
とお悩みのカップルにも同様のことが言えます。

年齢に伴う妊娠率の低下は30代半ばからはっきりしてきます。治療がうまくいく可能性もそのあたりから下がってきます。
その可能性をあげるためには、今までは必要なかった不妊治療が必要になるかもしれません。少しステップアップした治療の方がよいかもしれません。そして、その回数を重ねなくてはならないかもしれません。

不妊症の治療は、通院回数がたくさん必要だったり、少なからぬお金がかかったりします。
また、上のお子さんと一緒に受診できない医療機関もあります。

2人目不妊には、2人目ならではの悩みや心配、苦労があるでしょう。
でも、年齢は待ってくれません。
先延ばしにすることなく、今できるベストな方法を考えることをお勧めします。

  • 検査する、しない。
  • 治療する、しない。
  • どこまでの治療をする、いつまで治療する。

カップルでよく相談しましょう。独りで取り組むものではありません。
一度出した答えが絶対でもありません。状況に応じて、修正していき、その時々のベストを模索しましょう。

プチ更年期?

月経が多くなった、痛くなった、…
これらの症状があると、子宮筋腫などの病気を心配して受診して下さる方が多いと思います。
月経異常と産婦人科を受診する目安については、以前お話ししています。
素敵なスペースで、月経のしくみについて解説しました

月経前にイライラする、体調が悪くなる、…
このような月経前症候群(PMS)の症状がある方も、PMSという言葉の認知度があがってきたのか、増えてきています。
PMSについては、こちらの記事をご参照ください。
病気を知って、周りに知らせて、PMS(月経前症候群)を乗り切っていこう

そんな中で…
「最近、月経の量が減ったけど、大丈夫?」
受診するほどではないけど、質問できるなら聞きたいのがコレ。
「私、そろそろ更年期でしょうか?」と聞かれます。

初めにお答えするのは、「月経がおおむね毎月あるのなら、更年期ではありません」ということです。
すると、ほとんどの方が安心されます。

月経量の減少は、ホルモン値が以前とは異なっていることを反映しているのかもしれません。
でも、1日でもしっかりとした月経があれば、必要なホルモン量は保たれていると考えましょう。

では、月経不順を伴っている場合は、どうでしょうか。

卵巣が女性ホルモンを出せるのに、そのバランスが整っていないと、月経周期のリズムが狂ってしまいます。
これが月経不順や無月経(3か月以上月経がないこと)の多くの原因です。

一方、卵巣が女性ホルモンを不可逆的に出せなくなってくることがあります。
その結果、月経が止まって(終わって)しまうのが閉経にいたるメカニズムです。
更年期にあたる45-55歳前後であれば時期的に問題ありませんが、それより早いのは少し問題です。

どちらかを見極めるためには、産婦人科で相談なさってください。ホルモン値を測る血液検査などで判断できます。

更年期の症状が気になったら、こちらをお読みください。
更年期の症状って?
不定愁訴、自律神経失調症とよばれるような症状が多いのも特徴です。症状だけで判断せず、専門家と相談しましょう。