成長・発達に合わせて

three women posing for photo

11月12日、14日に開催された性教育講演が終了しました。
どちらの講演でも、お越しくださった皆さんが熱心に聴いてくださいました。ありがとうございます。

前三回に引き続き、実際にお受けした質問の回答をご紹介します。

子どもが18歳です。一応、今まで性に関する教育はしてきたつもりです。今後、何か必要なことはありますか。

月経のこと、妊娠に関することなど、教育をされてきたとのこと、とても素晴らしいです。きっと、お子さんに伝わっていることと思います。

お子さんが独り立ちしたら、自分自身で自分の体と心を健やかに保てる知識やスキルが必要になります。
そのためには、性や生殖に関わるものとしては、月経困難症や月経前症候群などの月経に関連したトラブルのこと、妊孕性のこと(妊娠のしやすさ)、がん(20歳以降は、子宮頸がんの検診が受けられます)についてなどの知識があるといいでしょう。

これらについて伝えるとともに、今後お子さんが何らかの問題を抱えた時に相談したり調べたりする方法を教えましょう。インターネットで検索すると、玉石混交の情報がたくさんあります。どのようなサイトなら信用できるのかなどの見極め方も確認しておくといいでしょう。

インターネットで検索する際には、医療情報利用の手引きを参考にされることもお勧めします。下記にリンクをご紹介しておきます。

医療情報利用の手引き:日本インターネット医療協議会による

軽度知的障がいがある子どもには、どんな風に伝えればいいですか。

障がいがあるなしに関わらず、伝えたいことは同じです。障がいがあるからと言って、伝える必要がないことなどありません。

ただ、お子さんが理解することが重要です。性教育を伝える目安となる年齢にこだわらず、お子さんが理解できる方法でお子さんが理解できる内容を伝えていきましょう。
障がいの程度によって、伝える範囲は変わってくるかもしれません。たとえば、「自分の体を守る」ということを教えて実践していくために、自分でできるお子さんならその方法を伝えていきます。自分ではできなくても意思表示ができるなら、快・不快を保護者や介助者に伝えられれば、自分の体を守ることにつながります。

まず、いやなことは「いや」と伝えること、プライベートゾーンのこと、プライベートゾーンを大切にすること(他人に見せたり見られたりしない、触らせたり触られたりしない、など)から伝えていきましょう。
性交などについても、「この子には関係ない」という思い込みはせず、伝えてみてください。何となくでも知っていることで、望まない被害を防げるかもしれません。

最近は、お子さんへの性教育に関する書籍が数多く発行されています。絵本のように、お子さんにとって分かりやすいものもありますので、そのようなツールを活用しみるのもお勧めします。

特別支援学校で性教育をした人によると、発達にはばらつきがあるため、集団を対象にした教育と同時に個別の教育も必要だと感じたそうです。
お子さんに合わせた教育内容や方法については、保護者の方だけではなく学校の先生や主治医、介助者など支援者も一緒に考えていく必要があるかもしれません。

性教育は、一回教えれば済むものではありません。お子さんの成長・発達に合わせて、繰り返し何度も行うことで理解を深め、実践できるようになるものです。
お子さんへの教育を通じて、ご自身の性と生殖に関する知識やスキルも上がっていきます。教えてあげるもの、ではなく、一緒に学んでいくものと捉えて、関わっていただけると幸いです。

お子さんだけではなく、皆さんも健康で幸せに生き、自分と相手のこころとからだを大切にできるよう、願っています。