第二次性徴を迎えたら

people sitting on green lawn grass while doing hands up at daytime

11月12日、14日に開催された性教育講演が終了しました。
どちらの講演でも、お越しくださった皆さんが熱心に聴いてくださいました。ありがとうございます。

前々回前回に引き続き、実際にお受けした質問の回答をご紹介します。
今回は、第二次性徴を迎える時期のお子さんをお持ちの方からの質問です。

子どもが小学4年生の女子です。学校で生理用品をもらってきました。よく理解していないようですが、どうしたらいいですか?

学校で説明もなく生理用品を配るとは考えにくいのですが、その説明がわかりにくかったのかもしれません。あるいは、理解していても保護者の方に理解した内容を上手に伝えられなかったり、伝えることに恥ずかしさを感じたりしているのかもしれません。

生理用品を使う目的として、妊娠すること・子宮のはたらき・月経(生理)について、あらためて説明してみましょう。ご家庭で教育する最大のメリットは、お子さんの理解度を逐一確認しながらお子さんのペースで説明できるということです。

生理用品の使い方も伝えましょう。保管している場所、捨てる場所など、ご家庭での決めごともあわせて教えておくといいでしょう。
また、生理用のショーツやティーン向けのブラジャーなど、大人のからだへと変化する時期に適した下着を準備することも必要です。一緒に買いに行ってみませんか。自分の下着を自分で選ぶことで、自分が健康で快適であるために何かを選ぶスキルを身に付ける機会にしてみましょう。

子どもが中学1年生の男子です。最近、朝起きたら下着やパジャマを洗って洗濯機に入れていることがあります。精通だと思うのですが、どのように声をかけたらいいですか?

精通を経験されたようですね。自分で洗濯するのは悪いことではありません。むしろ、自分のものを洗濯できるスキルがあることは大切なことです。

射精することや精液に対して、否定的なイメージを抱かないように配慮しましょう。
具体的には、「汚いから洗っておいて」ではなく「精液がついたなら洗っておいて」と言うようにします。

自然な形で、お子さんの体の成長を肯定的に受け止めていることが伝えられたらいいですよね。

射精ができるようになったということは、大人のからだになったということ。
大人になるからには、自分の体と心を大切にすること、相手の体と心も大切にすることがとても大切だとしっかり伝えましょう。

子どもが中学生の男子です。今後、相手との性関係が生まれてくるかもしれません。相手のことも大切にするためにどうしていけばいいのか、何をどのように伝えていけばいいのか?

中学生は、性交(せいこう)するには少し早い気もします。性交(セックス)は、妊娠する可能性を伴う生殖行為です。基本的には、子どもを育てられる大人がする行為だからです。
しかし、知らないことによって性に関するトラブル(妊娠や性感染症、性暴力など)に巻き込まれることは防ぎたいものです。

性的な関係を持つ際に知っておきたいことは次のとおりです。

  • 恋人同士だからと言って、性的な行為をしなくちゃいけないわけではない(しなくてもいい)
  • 何をしたいのか、したくないのか、お互いの意思を尊重しなくてはいけない
  • 男女の性交では、妊娠する可能性がある
  • 妊娠を望んでいない場合には、確実な方法で避妊する
  • 性器の挿入を伴わない行為も含めて、性交には性感染症にかかったりうつしたりする可能性がある

これらのことを伝えられるといいでしょう。
性交について伝える際には、「セックスすると子どもができるかもしれないんだから、責任を持って自分のことを自分で選んだり決めたりできるくらい成長してからするものなんだよ」ということも言い添えておきましょう。

責任を持って決めるということは、自分と相手の意思を尊重することは欠かせません。お互いの性的自己決定権(性的なことに関して自分で決める権利)を尊重し、性的同意(性的なことに関する同意)をとりましょう。これが「相手のことを大切にする」ために最も重要なことです。

そして具体的には、性交には望まない妊娠や性感染症を伴うリスクがあることを教えなくてはなりません。
これらのリスクを適切に回避できる知識(避妊やコンドームの使用)を持ち、確実に実践することが「相手のことを大切にする」ために欠かせないと伝えましょう。

思春期になったお子さんは、恋愛のことや性に関することを保護者と話さなくなるかもしれません。ご自身も話したり教えたりするのを難しいと感じるかもしれません。
そんな場合には、下記サイトなどを紹介してお子さん自身で見てもらってもいいでしょう。

また、「AVって、男性も女性も演技しているから、現実には参考にならないよ。本当に相手のことを考えているなら、相手に何をしてほしいとかしてほしくないとか聞きながら、お互いが気持ち良くなるのが一番いいと思う」などのように、一般的な話として語り、それに対して自分の意見を付け加えるという方法も使えます。

第二次性徴(体の変化や精通、初経など)については、小学校高学年の保健の授業で学びます。
しかし、月経痛(生理痛)への対処、マスターベーション、健康的な性関係などについては、学校ではあまり教えてくれません。これらの内容を補完するために、ご家庭での教育が必要です。

「うまく教えられるかしら…」と心配しなくても大丈夫です。
上記の回答欄でもご紹介したように、思春期のお子さんに向けた専門家によるサイトもあります。正しい情報につながることが重要で、ご自分ですべてを教える必要はありません。
その分、「心配な時や困った時には、相談してね」というメッセージだけはしっかりと伝え、相談にのってあげてください。