女性ホルモンの話をしました
1月28日は、Hikare’でLOVE Aging講座を開催しました。いつもどおりの和やかな雰囲気で、今回は女性ホルモンについてお話ししました。
講座中に受けた質問に対する回答もまじえて、内容をまとめました。
女性ホルモンは、働きものである
女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンという2種類のホルモンがあります。プロゲステロンは、排卵後の妊娠に備える仕事がメインなので、いわゆる「女性ホルモン」としての仕事をしてくれているのはエストロゲンと言えるでしょう。
第二次性徴をはじめとした、生殖器への働きかけ。女性らしい体を作るための筋・骨格・脂肪への働きかけ。そして、アンチエイジングともいえる全身の臓器への働きかけ。
実にさまざまな仕事をしてくれているんですね。
手っ取り早く女性ホルモンをあげる方法はありますか?
こんなご質問をいただきました。
女性ホルモンは、脳の命令に従って主に卵巣が出しています。そのため、この脳の命令(実は、これもホルモン)を無視して女性ホルモンを増やすことは現実的ではありません。むしろ、脳の命令が十分に働ける環境を作ることが大切になってきます。
- 良質な睡眠をしっかりとる
- バランスのとれた栄養を充分にとる
- ストレスを貯めない
普遍的な回答になってしまいますが、これに尽きます。
ちなみに、産婦人科医としては、足りない女性ホルモンを「補う」という考え方をします。飲み薬、塗り薬、貼り薬、注射…と、治療の選択肢も昔より増えています。
女性ホルモンの量は、変化する
女性ホルモンの量は、女性の生涯を通じて大きく変化します。
思春期を迎えるころに徐々に増え、第二次性徴が起こります。大人になる頃までに安定します。更年期にさしかかると減少し始め、閉経を迎えます。
これらの変化にうまく対応できないと、心身の不調をもたらします。代表的なものが更年期障害です。
閉経のおよそ1-3年前からのぼせなどの症状が始まり、閉経期にピークを迎え、その後2年ほどすると体が対応できるようになります。この数年間にわたるつらい症状にお困りの方には、女性ホルモンを補う治療をお勧めします。
また、月経の周期の中でも、女性ホルモンの量は大きく変化します。
エストロゲンが排卵まで徐々に増えて子宮内膜を厚くすると、排卵後はプロゲステロンが出て妊娠しやすい環境の準備をするわけですが、この変化に伴う不調を感じる人も少なくありません。
月経前症候群(PMS)は、このプロゲステロンが出ている期間にさまざまな不調が出てくる状態をいいます。検査結果の数値などで診断できるものではなく、ご自分の体調を記録して同じ時期(月経前の3-10日間)に症状が繰り返されることで診断できます。
症状を記録することは、診断に必要なだけでなく、ご自分の体調管理にも役立ちます。
周りの人に知っておいてもらう、該当する時期は無理をしない、気分が晴れる予定を入れる、など、日々の生活にちょっとした工夫を加えるだけでも少し楽になることがあります。
それでもうまくいかないときには、産婦人科医に相談なさってください。
卵巣は、毎月、左右交互に排卵しているのですか?
卵巣は、左右に1つずつ、2つある臓器です。1つなくなっても、女性ホルモンを出す、毎月排卵するといった仕事をこなしてくれます。左右交互に出す、というわけではなさそうです。
卵巣の中には、卵子のもとを含んだ袋(卵胞)がたくさん詰まっています。毎月、脳からの命令を受けてこれらの袋がいくつか育つわけですが、その中で一番大きく育ったものだけが排卵します。
左右どちらからか、ではなく、とにかく一番!なことがポイントのようです。
40代になると、妊娠の確率が1%と聞いたのですが…
残念ながら、年齢と共に妊娠率は下がってしまいます。40代では数%程度というのは嘘ではありません。
私たちが持っている卵子のもとは、生まれる前からほぼ完成しています。年齢を重ねるごとに、卵子も老化してしまうので、妊娠しにくくなると考えられています。
次回は、2月18日。月経異常の話をします
LOVE Aging講座は、参加してくださる皆さんと講師の距離が近いことが最大の特徴です。気兼ねなく、いろいろな質問をしていただけます。
ご自分の身体のこと、お子さんのこと、何か気になることがありましたら、次回の講座に参加なさいませんか?
テーマ:月経のしくみとその異常
日時:2月18日(月) 12:30~13:30
場所:ワンピースHikare’(兵庫県加古川市平岡町新在家2-265-1
参加費(資料代):500円