男性型脱毛症(AGA)が気になるなら、禁煙しましょう

第5回LOVEAging講座で出た質問にお答えします

しみ、しわ対策とともに、男性型脱毛症を中心とした脱毛症についても説明しました。そこで、「ミノキシジル以外に、脱毛予防に効果があるヘアケアやスキンケアはあるのか」と質問を受けました。
調べた範囲では、ケトコナゾールを含むシャンプーに発毛効果があるかもしれないという研究結果がありました。しかし、医薬品として効果が証明されておらず、皮膚科医が強く推奨する特別なケアとまでは言えないようです。

代わりに、男性型脱毛症にとって影響がある因子について、わかっている範囲で説明を追加しておきましょう。

家族歴、特に父方の家族歴はチェックしておこう

男性型脱毛症(AGA)とは、毛周期を繰り返す過程で成長期が短くなり、休止期にとどまる毛包が多くなる結果、前頭部や頭頂部の頭髪が軟らかく細くなり、最終的に頭皮表面に見える頭髪が少なくなる状態です。

年齢
AGAは、20歳代後半から始まり、徐々に進行します。1981年に報告された日本での調査では、日本人男性の発症頻度は全年齢平均で約 30%であり、年齢とともに上昇して60歳代以降では約半数と報告されています。

遺伝
AGAには、遺伝と男性ホルモンが関与することがわかっています。遺伝的背景として関係する遺伝子がいくつかわかっていますが、それらを調べることは今のところ現実的ではありません。
台湾での研究によると、1親等の親族(親)にAGAの家族歴があると13.4倍、2親等内(祖父、兄弟)だと6.3倍リスクが高いと報告されています。また、母方の親族の家族歴では関連がはっきりしなかったのに対し、父方の親族での家族歴は10倍を超えるリスクがあるようです。

ただ、これらの因子は自分の努力では変えられないので、以下で他の因子に注目してみましょう。

AGAのリスクがあるなら、禁煙しておこう

アルコール消費、BMIなど、いくつかの因子が悪影響を及ぼす可能性があると示唆されていますが、研究によって結果が一致していません。生活習慣などが与える影響は、あってもわずかだろうと考えられます。
そのなかで、複数の研究で同じ結果が出ているものとして、喫煙のリスクが挙げられます。

先に挙げた台湾の研究のほか、イタリアの研究でも、喫煙しているとAGAのリスクが上昇すると報告されています。一方、オーストラリアの研究では、その影響ははっきりしませんでした。
これらの研究は単純に比較することができず、どの研究結果が最も正しいと言うのは難しいのですが、自分の意思で変えることができる生活習慣であることも踏まえ、AGAの家族歴がある若い方には、禁煙をお勧めします。

AGAが気になる人は、早めに皮膚科を受診しておこう

AGAは進行性ですが、ミノキシジルの外用などの有効な治療方法も確立されてきました。しかし、範囲が広くなってから、年数がたってからの治療では思ったほど効果が出ないこともあるようです。
また、AGA以外にも円形脱毛症や他の病気に伴う脱毛が原因である可能性もあります。

最近、髪の毛が薄くなってきたな、と気になっている方は、きちんとした診断を受けるために、最も適した治療を受けるために、一度皮膚科を受診してみましょう。

女性のAGAについて

先日の講座では、女性にも「男性型脱毛症(AGA)」があり、更年期以降に全体的に毛が薄くなるものとしてご紹介しました。

ただ、なかには男性ホルモン依存性では病態が説明できない場合もあるため、現在ではAGAより「女性型脱毛症(female pattern hair loss)」という病名を用いることが国際的にも多くなってきていることを補足しておきます。