子どもの貧困に対して、私たちのできること
10月6日、気持ちのよい秋晴れのなか、シンポジウム「子どもの貧困の背景にあるもの」が開催されました。
多くの人が参加され、真剣にお話を聞かれていました。子どもの貧困に対する関心の高さがうかがえました。
私はリプロダクティブヘルスの観点から話題提供をしましたが、他のパネリストさんのお話が秀逸でしたので、その要約をご紹介します。
ひとり親家庭の居住貧困を解消するには
葛西さんは、ひとり親世帯やDV被害者などの住生活問題を専門とされています。シングルマザーの住居問題に長く取り組まれてきましたが、最近になってその注目度が急上昇中。
葛谷さんからのメッセージをまとめると…
- 母子世帯の居住貧困は、居住保障が整備されていないがゆえに生じる。まず、公的な住宅保障(公営住宅など)を使いやすくし、充実させること。
- 住居だけではなく、ケアやコミュニティもセットで提供する仕組みが必要。多様な支援が連携したまちづくりを。
今までの調査研究の内容は、下記の著書にまとまっています。
母子世帯の居住貧困 葛西リサ著 (日本経済評論社、2017年)
子どもの貧困と社会
中塚さんは、朝日新聞社の記者さんです。子供や貧困に関する専門記者として、署名記事でお名前を拝見することもあります。
これからの子どもの貧困対策は?(中塚さんの資料より引用改変)
- 法成立:枠組みが中心である(社会へのメッセージ)
- 取り組みの広がり:問題への意識が広がり、担い手も増えるが誤解も増えうる
- 構造的問題に着手:ジェンダー問題や教育、労働の問題
「一市民としてできることに取り組む際に、目の前にいる親子に対して何ができるかということと、根本的解決に何が必要かの区分が必要」という指摘が鋭くささりました。
中塚さんの書籍もご紹介しておきます。
貧困のなかでおとなになる 中塚久美子著 (かもがわ出版、2012年)
私たちに何ができるか
お二方も指摘しているように、法律や制度ができることはもちろん大切ですが、それだけでは足りません。
活用できなかったり複雑だったりと改善の余地があるので、その点は声を上げて変えていきましょう。
問題意識を持つこと。そして広げていくこと。
そのような土壌を形成しつつ、一人ひとりができる支援をしていくこと、そして、それが有機的につながることが大切だと思います。
葛西さんも中塚さんも、子どもの貧困が今のように注目されるずっと前から関わってこられてきました。
継続する力を目の当たりにし、脱帽する思いです。
Mimosaも、女性の健康リテラシー向上を目指して、活動を続けていきたいと考えています。