見た目の年齢が若い方が長生き!―第5回LoveAging講座では、しみやしわ対策についてお話ししました

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見た目の年齢は、加齢を示すのに臨床的に有用なバイオマーカー*である

BMJという有名な医学誌があります。この雑誌のクリスマス号は、毎年ユニークな研究が掲載されます。2009年にも、インパクトの強い論文が掲載されました。

その論文によると、見た目の年齢が高い方が握力や認知機能が弱く、死亡率も高いことが分かったのです。
見た目の年齢は、看護師、年配の女性、若い男性計40人が、対象となる高齢者の顔写真を見て、推測しました。対象となったのは、デンマークの疫学研究に参加した70歳以上の双子387組、774人です。

見た目の年齢は、臨床医が患者の健康を全般的に評価する際に広く用いられているが、70歳以上の高齢者の生存率を予測し、老化を示す重要な機能的および分子的表現型と相関しており、老化を示す頑強なバイオマーカーである。

BMJ 2009;339:b5262 

なぜ、見た目の年齢が死亡率と関係するのか、そのメカニズムは完全には解明されていません。しかし、喫煙や日光曝露、うつ症状などが見た目の年齢と関係しているという研究結果も報告されているので、このような健康を害する因子の影響が考えられています。

*バイオマーカーとは、人の身体の状態を客観的に測定し評価するための指標のこと。

紫外線対策が皮膚老化のカギを握っている

しみ対策は、UV-B対策

紫外線を浴びると、表皮に存在するメラノサイトはメラニン色素を作り出し、いわゆる日焼けの状態を呈します。何らかの理由でこの反応がいつまでも続くと、メラニン色素が作り続けられ、しみとして残ってしまいます。
これを日光性色素斑と言います。

メラノサイトを刺激するのは、おもに表皮で吸収されるUV-Bとよばれる紫外線です。エネルギーが強く、一気に浴びるとやけどのような炎症を起こすこともあります。

紫外線対策をすることで、過剰にメラニン色素を作り出さないので、しみができるのを防げます。
一年をとおして、こまめにサンスクリーンを塗る、日傘や帽子を使う、などの紫外線対策を行いましょう。

しわ対策は、UV-A対策

しわは、表皮の下にある真皮の構造が乱れることで生じます。
年齢に伴ったコラーゲン線維の減少、顔にある脂肪や筋肉などの皮下組織の変化、そして紫外線による弾性線維の変性などが原因となります。

弾性線維の変性をもたらすのは、主にUV-Aとよばれる紫外線です。エネルギーは弱いのですが、皮膚の奥まで到達してダメージを与えます。
透過性がいいので、家の中にいても油断ができません。年中いつでも紫外線対策が必要なゆえんです。

紫外線対策以外にできること

皮膚の老化には、紫外線などによって生じる活性酸素が関与します。抗酸化物質の使用も効果が期待できそうです。
メラニンの生成を抑えるような成分も開発されています。ただし、高濃度のものは刺激も強いので、美容皮膚科などの専門家と相談なさってください。

また、LoveAging講座では、しわのできやすい場所を確認しました。これらは、脂肪組織や筋肉の加齢変化によってできやすいものです。
笑いじわなどの表情に伴ってできるしわも、年齢に伴って固定化します。よい表情を心がけたいものですね。

次回は12月17日開催です

次回は、今年最後のLoveAging講座になります。

いつまでも綺麗な肌でいよう(その3)
皮膚の病気を知る:がん、アトピー性皮膚炎
がテーマです。

12月17日(月)12:30から
場所は、ワンピースHikare’です。