医療機関を受診するときに、準備しておきたい「メモ」

WACCAで「女性のからだのワーク」を開催しました

3月1日、WACCAでご好評をいただいている「女性のからだのワーク」が開催されました。
この日は、ふだん、医療者にも周りの人にも、なかなか聞けない「からだに関する気になること」について、参加者の皆さんとざっくばらんにお話ししました。

折しも、3月1日からは「女性の健康週間」です。ご自分のカラダのこと、ココロのこと、いたわってあげるきっかけにしていただきたいと思います。

「医者にかかる10箇条」をご紹介しました

医療機関を受診した時、医師の説明が分かりにくかったとか、きちんと質問ができなかったとか、不安や不満を感じたことはありませんか。
NPO法人ささえあい医療人権センターCOMLは、 患者が不満や悩み、不信感を抱く原因の多くは医療者とのコミュニケーションギャップであるとして、患者・医療者双方のコミュニケーション能力を高めることを目的とした活動を継続されています。COMLが発行している「新・医者にかかる10箇条」は、患者が主人公になって医療に参加する心構えが記されています。

受診する時には、必要な情報を「メモ」にして持参しましょう。

  • 受診のたびに必要となる情報を的確に伝えるために、既往歴や家族歴、服薬内容、アレルギーの有無などは、あらかじめメモを作っておく。
  • 受診するにいたった病状について、医療者が必要とする情報を的確に伝えるために、自覚症状の変化を時系列に記したメモを作る。
  • 受診した後に疑問が残らないように、質問したいことをまとめたメモを作る。

受診するまでに、これだけの準備ができていたら完璧です。受診したら、医師にメモを渡してしまいましょう。

そして、忘れてはいけないのが、診察を受けている間にもメモをとることです。

  • 医師の診断
  • 治療方法について
    • どんな治療方法があるのか(それぞれのメリットとデメリット)
    • 実際にどの治療を受けるのか
  • 患者自身が気を付けること(するべきこと、してはいけないことなど)
  • 今後の見通し

自分自身が主体的になって医療に参加するためには、自分で治療方法を決めるという意識が大切です。そのためには、さまざまな選択肢を知る必要があります。
また、医療には限界があります。治療した結果が芳しくないこともあります。その場合、今後の見通しを知らなければ、もう一度受診して治療方法の再検討を行うタイミングがつかめません。

命にかかわるような病気や非常に珍しい病気の場合、医師に質問するために病気に関する情報をあらかじめ入手しておきたいことがあるかもしれません。多くのことがインターネットで検索できる時代ですが、得られる情報は玉石混交であることに注意が必要です。

がんに関することでしたら、国立がん研究センターによるがん情報サービスをご覧ください。
また、全国のがん診療連携拠点病院に設置された「がん相談支援センター」では、がんに関する相談を受けてくれます。患者や家族だけでなく、誰でも無料で利用できます。がんに関する治療や療養生活全般、地域の医療機関などについての相談が可能です。

他の病気については、たとえば産婦人科のことであれば日本産科婦人科学会のように、関連した学会のホームページを探してみましょう。多くの学会が、一般の人に向けた情報提供をしています。
学会によっては物足りないものもあるかもしれませんが、偏った情報に惑わされることなく、日本における標準を知るには適しています。

良好な医師患者関係を築いていきましょう

どの医療機関を受けたらよいのか、ということも話題になりました。病気や状況によっても異なりますが、一番重視してほしいのは、良好な関係を築けるか、コミュニケーションがとれるか、という点です。

たしかに、がんなどの命にかかわる病気の場合、専門医がいてマンパワーもある高次医療機関で治療を受けるのが望ましいでしょう。
しかし、診断を受けるまではそうとも限りません。診断の結果、専門的な治療が必要だと判断されてから紹介してもらうことも可能です。
一方、珍しい病気の場合は、診断にたどり着くまでに専門医の知識が欠かせないこともあります。それでも、診断・治療が困難な患者を適切に紹介してくれる医師にかかっていれば、最終的に診断にたどり着けるはずです。

病気になった時、体調がすぐれない時に最初に受診する際は、最終的に適切な診断・治療につながる点が担保されているなら(これが意外と難しいのですが)、特殊な知識や技術を持つ医師である必要はありません。
むしろ、ご自分が病状や困っていることをきちんと伝えられる方がずっと重要です。良好な関係を築けるかどうかを手がかりに、かかりつけ医をお探しになってはいかがでしょう。

偉そうなことを書きましたが、私もかつては、多忙を言い訳に患者の訴えを「聴かない」医者でした。自省の念を込めて、良好な医師患者関係の重要性を強調したいと思います。

最後に

ワークで、こんな声を聞きました。

珍しい病気だったから、結局診断がつかなかったんだけど、後日、先生にその病名を言ったら、「そうだったのね。診断してあげられなくて、ごめんなさいね」と謝られた。医者に謝られるなんて…驚いた。

医師も人間なので間違えることがあります。医療にも限界があります。だからこそ、自分の限界を見極め、過ちがあれば素直に認められる姿勢が欠かせません。
自分の非を認めない職種と思われているようではいけない。改めて肝に銘じました。

私にとっても、有意義な気付きがあるワークになりました。
ありがとうございました。