骨盤底筋群体操で産後もHAPPY!

ドーンセンターで開催した、Mimosaによる健康講座。参加者の皆さんから「今日から始めます」「疑問が解決できて、スッキリした~」と大好評でした。ここでは、その内容をダイジェストでお伝えします。

分娩の進化―イヌは本当に安産か?―

「戌の日に腹帯を巻いて安産祈願をする」というのは、日本に古くから伝わっている風習です。子だくさんでお産が軽い犬にあやかって、ということなのでしょう。
ただ、最近の可愛らしいワンちゃんの中には、決して安産ではない犬種もあります。その場合、ワンちゃんも帝王切開を受けるそうです。品種改良という進化の中で、出産に伴うリスクが大きくなった犬種もあるのかもしれません。

さて、ヒトは進化の過程で四足歩行から二足歩行になり、直立するようになりました。
子宮と子宮口の位置関係も横から縦へと変わりました。その結果、妊娠によって大きくなる子宮の重さを、骨盤とその底にある骨盤底筋群で支える必要が出てきました。
これが他のほとんどの哺乳動物との大きな違いです。
また、脳が発達し、相対的に頭が大きくなったため、産道をぎりぎり通るサイズで産まれてきます。

妊娠に伴う骨盤と骨盤底筋群の変化

骨盤底筋群

妊娠すると、リラキシンというホルモンが働くことで、骨盤がゆるみます。赤ちゃんが産道を通りやすくするための工夫ですね。具体的には、

  • 仙腸関節がゆるむ
  • 仙骨が下がる
  • 坐骨が広がる
  • 恥骨結合が開く

といった変化が現れます。
骨盤底筋群は、内臓をハンモックのように支えている薄い筋肉群です。
これらの筋肉は、骨盤内にある膀胱や子宮、腸などの内臓を支え、また尿道や肛門を締める役割も果たしています。

妊娠して大きくなる子宮を支えた骨盤底筋群は、分娩時には赤ちゃんが通る産道の一部となります。そのため、妊娠・分娩によって、しばしばダメージを受けてしまいます。
すると、尿道口や肛門を締める括約筋の力が弱まり、尿失禁(尿漏れ)やオナラの我慢が難しくなったりします。
また、内臓を支える力が弱まるため、腟に向かって内臓が下がってくることもあります。

「尿漏れ」は、産後健診でもスルーされがち

産後、骨盤や骨盤底筋群のゆるみに伴う尿漏れは、多くの女性が経験しています。しかし、実際に産後健診で医師や助産師に相談できる人は多くはありません。
「恥ずかしいし」「こんなものかと思っていた」「そのうち治ると思っていた」といった理由で、自分のことより気になる赤ちゃんのこと、育児のことを優先してしまいがちのようです。

でも、産後すぐから骨盤底筋群体操をしっかり続ければダメージを最小限に抑え、不快な症状も早くよくなるのに。
産後に自分の体に気を遣う余裕がなくなるなら、骨盤底筋群体操に関する情報を妊娠中にあらかじめ伝えておきたい。

その思いで、今回の講座を開きました。
骨盤底筋群体操は、妊娠中からでも早すぎません。
産後すぐできなかったとしても、今からでも遅くありません。
効果が出るまで少し時間はかかりますが、筋トレは裏切りません。

ネコのポーズをしてみましょう

リラックス効果だけではなく、腰周りの筋肉がほぐれ、腹筋や背筋の内側にあるインナーマッスルが鍛えられます。

みんなで、ネコのポーズ
  1. 両手を肩の真下に下ろして床につき、両ひざを腰より後ろについた四つん這いの姿勢をとります。
    両手と両ひざは肩幅くらいに開き、腕と太ももが床と垂直になるようにします。目は両手よりも少し前を真っ直ぐ見るようにしましょう。
    両手の指をしっかり開いて、手のひらをベタッと床につけてください。足の甲を床につけ、つま先を伸ばし、リラックスさせます。
  2. 息を吐きながら、両手と両ひざの位置は動かさず、背中を丸めていきます。
    背骨が天井に引き寄せられるようなイメージで、ネコが威嚇するときのような、丸まった体勢をとります。目でおへそを見ることを意識して、頭を下げ、背中を丸めるようにしてください。
    ゆったりと3回くらい深呼吸をしながら、30秒ほど姿勢を保ちます。
  3. 息を吸いながら、ゆっくりと背中を反らせます。
    お尻を天井のほうへ突き出すイメージをしながら胸を張り、目線は天井に向けましょう。
    背中を反らせる際は、体が痛くないところまで行うようにします。
    「2」と同様に、ゆったりと3回くらい深呼吸をしながら、30秒ほど姿勢をキープします。
  4. この「1」から「3」の流れを、5回から8回行います。

骨盤底筋群体操をしてみましょう

骨盤底筋体操は、最低3ヶ月は続けて行うと効果が出ると言われており、それでも改善がなければ医療機関を受診することをお勧めします。

座った姿勢の骨盤底筋群体操

立っていても、座っていても、横になっていてもできます。
負担のない方法で始めましょう。

  1. おしっこを我慢する、お尻を締める、この時に使う筋肉を10秒ほど引き締めます。
    ※この時、腹筋や太ももの筋肉に余計な力が入らないように注意しましょう。
  2. 脱力してゆるめ、しばらくリラックスします。
  3. 1、2を繰り返します。

うまく力が入れられないときは、タオルを使ってみましょう。
フェイスタオルを四つ折りにして、くるくる丸めてゴムで固定します。直径5cmくらいの細長い筒状になればOKです。

  1. 椅子の上にタオルを置き、尿道と肛門がタオルに当たるように座ります。
  2. 足を肩幅に広げ、背筋をのばします。。手は、掌を天井に向け、膝の上に楽に置きます。
  3. まず、息を吸って脱力し、リラックスします。
  4. 次に、息を吐きながら、尿道と肛門を締めます。
    タオルを挟んで、上に持ち上げるイメージでしてみましょう。
    最初はタオルを挟む時間は5秒、できれば10秒に伸ばしていきます。
  5. また息を吸って、力をゆるめてリラックスします。
  6. これを眠前に10回してみましょう。慣れてきたら、朝昼晩で10回ずつ。

おしり歩きも骨盤底筋を鍛えるのには効果的です。
テレビを見ながらでもかまいません。時間を見つけてやってみましょう。